フィット・アクア対決part2

走行安定性は同程度だが、 アクア の方が低重心ということもあり軽快に曲がる印象 だ。

全長/全幅/ホイールベースの数値は両車とも同等だが、全高はアクアが1,445mmで フィットハイブリッド より80mmほど低い。

このあたりはドライバーの好みで評価が変わるが、フィットハイブリッドは“安定指向”、アクアは機敏で“スポーティ指向”といえるだろう。

乗り心地は、アクアは路面上のデコボコが直接伝わりやすいが、対するフィットハイブリッドには重厚感が伴っており、 フィットハイブリッドのほうが乗り心地は勝っている。


インパネなど内装のデザインは、 アクア は立体的で フィットハイブリッド はオーソドックス。

内装の質感が高いのはフィットハイブリッド だろう。アクアはシボ(インパネなどの表面の模様)の入れ方が個性的で、好みが分かれる。

居住性は、全高の違いによってアクアは着座位置が少し低め。

手足を伸ばし気味に運転するタイプで、ドライバーの姿勢も少しスポーティとなる。対するフィットハイブリッドはコンパクトカーらしく、床と座面の間隔を十分に確保することで、空間効率を高めている。

ホンダ 新型フィットハイブリッド

トヨタ アクア[Sグレード]

リアシートは フィットハイブリッド の圧勝 だ。

アクア は全高が低めで天井を後ろに向けて下降させたから、着座位置が下がって腰の落ち込む座り方となる。

アクアは身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ1つ半。座面のボリューム感も不足している。

対するフィットハイブリッドは、前述の測り方でリアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半。腰の落ち込み方も少なく、アクアと違って窮屈とは感じにくい。

ホンダ 新型フィットハイブリッド ホンダ 新型フィットハイブリッド トヨタ アクア[Sグレード] トヨタ アクア[Sグレード]
荷室の広さと使い勝手ではさらに差が付く。

従来型と同様、 フィット は燃料タンクをフロントシートの下に設置するから荷室の床が低い。もともと容量にゆとりがあり、リアシートを床面へ落とし込むように畳めば フィットはコンパクトカーで最大級の荷室を確保することが出来る。 アクア はシートアレンジが単純で、フィットのような多彩な機能は備わっていない。

こういった機能の違いに前述の価格差まで加えると、 総合評価では フィットハイブリッド が勝る。

アクアはダイレクト感のある運転感覚が魅力で、クルマ好きには受けそう だが、コンパクトカーのユーザーは多用途性を求める傾向が強い。比較検討されるとアクアは辛いところだ。

こうなるとアクアには、JC08モード燃費を40km/L前後まで引き上げたり、高速域にも対応できるミリ波レーダーを使った衝突回避の支援機能が求められるだろう。居住性や積載性はマイナーチェンジではほとんど改善できず、燃費性能と安全性能で優位に立つしかない。

フィットも衝突回避の支援機能として「シティブレーキアクティブシステム」をオプション設定するが、赤外線レーザーを使ったタイプだから作動は時速30km以下のみだ。そのためにサイド&カーテンエアバッグとセットで約6万円と価格を抑えるが、アクアとしては高速域のカバーで差を付けるしかないだろう。