広告の役割と機能

いまこそ広告にかける機能、目的が時代と共に変わって来ていることを認識しなくてはならない。
広告の役割、機能、目的の変遷は、広告の歴史の中で、次ぎの5つの段階を経て変わっている。
そしていまは、その5段階目に至っていることを広告主も広告会社も確認しなくてはならない。

1.第一段階・・・・・・・・告知の時代
              広告の始まりはローマ時代の娼婦の宿を知らせる矢印を持って嚆矢とする説
              があるが、広告の始めの目的は告知すろことにあった。この時代が長く続く。
2.第二段階・・・・・・・・告知+販促の時代
              工業化社会が始まった1772年ごろから物の生産が伸びることにより販売と           
              いう役割が広告に加わるようになってくる。知らせて売らなくてはならないから
              だ。
3.第三段階・・・・・・・・告知+販促+理解の時代
              1960−1980年代経済の高度成長時代を迎えて大量生産大量販売が、実           
              現してくると消費者の理解をえないとものを大量に売りさばくことが出来なくな  
              ってきた。消費者に理解してもらうための機能が広告に求められた。
4.第四段階・・・・・・・・告知+販促+理解+共感の時代
              1980年代の後半頃からモノが溢れ、成熟化社会になると消費者の感性に触
              れないと物は買ってもらえなくなってきた。物がいいだけでは売れないのだ。
5.第五段階・・・・・・・・告知+販促+理解+共感+信頼の時代
              1990年代も後半より、消費者の心は、成熟化が一段と進み最早Needsから
              Wantsの世界に入り、信頼のないものには見向きもされない時代へと入って
              いった。つまりブランド力競争の時代へと入った。

つまり広告の役割と目的は、告知→販促→理解→共感→信頼へと変遷してきたのである。
従って、広告の役割、目的は、市場の変化によって変わってきたといえる。
そして、現在は、G7の国では、広告の役割、目的は、第五段階をむかえているといっていい。
日本は、当然第五段階に位置しているわけで、広告の目的は、ブランドを育成、強化することにある。
よって、売り上げがあがらないことで、広告が効かないと言う判断は、前提が間違いである。

最もブランド力の育成、強化の広告を本当にしているかどうかは、また別の問題である。
いま殆んどの広告主が、ブランド広告をしてはいない。それは広告会社も同じである。
現在本格的ブランド広告で成功しているのは、ソフトバンクサントリーくらいではないか。
帝王学とは一言で言えば、権力の学問であり、エリートの人間学である。

その基本は、次ぎの3つの柱からなっていると安岡先生は言っておられた。

1.原理原則を教えてもらう師を持つこと
2.直言してくれる側近を持つこと
3.よき幕賓(ばくひん)を持つこと

幕賓とは聞き慣れない言葉であるが、言って見れが、
パーソナルアドバイサーとか社外重役、古い言い方をすれば、客分、顧問であろうか。
広告界も法曹界も、この帝王学を備えたリーダーや経営者によって必ず再興されると思う。
植田正也

広告革新塾−植田正也 10:03 comments(0) trackbacks(0) pookmark

広告会社の経営を「現代の帝王学」に学ぶ
2010.09.22 Wednesday | category:広告業界の「事情」
大阪地検特捜部の証拠改竄ニュースを見ていて急に思い出した。
規範の崩壊と精神の堕落を痛烈に批判した、かっての心の修養講座のことである。
そして、それは、現状の広告業界の未曾有の低落振りに思いが及んだ。

1960年代である。東京オリンピックのあった10年間だったと思う。
丸の内の旧丸ビルの中に「日本倶楽部」という安岡正篤先生主催の集まりがあった。
20代後半から30代にかけて、この会に参加していた。日本デザインセンターの頃である
入会の経緯は、はっきり思い出せないが、今思えば当時の錚々たる経営者が参加していた。

その中のどこかで「現代の帝王学」というタイトルの講話があった。
その一説に帝王学の3大要諦と謳ったくだりを思い出したのである。
帝王学とは一言で言えば、権力の学問であり、エリートの人間学である。

その基本は、次ぎの3つの柱からなっていると安岡先生は言っておられた。

1.原理原則を教えてもらう師を持つこと
2.直言してくれる側近を持つこと
3.よき幕賓(ばくひん)を持つこと

幕賓とは聞き慣れない言葉であるが、言って見れが、
パーソナルアドバイサーとか社外重役、古い言い方をすれば、客分、顧問であろうか。
広告界も法曹界も、この帝王学を備えたリーダーや経営者によって必ず再興されると思う。
植田正也

広告革新塾−植田正也 10:03 comments(0) trackbacks(0) pookmark

21世紀、海外広告は,電博ADK大手3社の独占か
2010.09.14 Tuesday | category:広告業界の「事情」
国土交通省は、この2010年5月に「国土交通省成長戦略」を発表した。
この中、観光分野については、3本の項目についての戦略を柱に据えている。

1.訪日外国人旅行者の誘致
2.観光地の魅力度を向上させる
3.観光立国推進の基盤整備と国民意識の改革

この戦略のもとに6月には、政府が「新成長戦略」を閣議決定
観光立国・地域活性化戦略として訪日外国人の誘致拡大が、国の施策の柱に浮上した。
これを受けて、観光庁は、2010年下期の東アジア地区に対する訪日向け広告コンペを実施。

その結果は、台湾地区は電通、中国地区は博報堂、韓国・香港地区がADKに決定。
どのようなコンペ形式にしたのか、定かではないが、大手3社の独占である。
しかし、この広告会社の割り振りには、今ひとつ納得がいかない。

一つは、いかにも官庁のやりそうな帳尻合わせが、気に入らない。
広告業界上位3社が、どうしてそろいも揃って絵に描いたように決められたのか。
日本には倒産が頻発するとはいえ、まだ2,500社くらいの広告会社が存在はずである。
一体何を根拠に、誰が電通博報堂、ADKの3社を選りすぐって決めたのだろうか。

もう一つは、上位3社の広告会社以外の広告会社の不甲斐なさである。
広告会社の実力は、決して規模の大きさや、社員数の多さでは決まらない。
シンボリック・アナリスト的な能力による問題発見力と問題解決力の問題であるはずだ。
だとすれば、電博ADKに対して枕を並べて討ち死にするはずがない。
しかし、もし本当に電博ADKに太刀打ちできないとすれば、これは大問題である。

なぜこんなことを書いたかというとDDBのジャマイカの観光局の外国人誘致キャンペーンを
思い出したからだ。当時担当したDDBは、マディソン・アベニューの小さな広告会社だった。
並み居る大手広告会社、トンプソンやマッキャンを押しのけてせり勝った。
結果は、ジャマイカに海外から観光客が押し寄せた。歴史に残る大成功である。
其処には、CD兼コピーライターのビル・バーンバックとADのロバート・ゲージがいただけだ。

植田正也