戦略をなくす戦略

来期事業計画が大詰めをむかえている。なりたい姿(ビジョン)は見えてきた。経営方針(戦略)もいくつか案が出た。今は行動指針をどうするかというステージである。今年は案を役員で取りまとめた後、現場の課長以上からフィードバックをもらい修正を重ねようという新たな試みに挑戦したいと思っている。何より今年はわかりやすく考えさせられる(振り返り)事業計画にどうしてもしたいと思っている。計画準備のテーマは「シンプル」だ。シンプルほど難しいことは無い。頭が整理されていない、整理されても内省が足りない、内省されても視点が自分中心で低いなど越えるべき思考のプロセスは多い。そしてこれらのプロセスを克服した後に待ち構えるのが理念であり信念だ。自分の信条に照らし合わせ本当にブレてないか、社会的意義は何なのかを自分に問い続ける。なんども繰り返し何も見なくても自分の言葉で聴いている人の心に刺さるように語れるようになった時はじめて本当のシンプルが実現できるのではないかと思っている。そんな事を思いながら毎朝のウォーキングに出かけた。今は日の出が6時20分ぐらいなので1時間くらい歩いてから晴れた日はご来光が庄内川を挟んで拝める。今日は東の中空に厚い雲がかかり絶好の朝焼け日和の天候だ。とても神秘的な気分を楽しみながら何度もオレンジ色の東を見て歩いていると、人や他社に勝つために事業計画を考えている自分がだんだん小さな人間に思えてきた。何のために仕事をしているのか?
勝つことの裏には敗者がいるが競争のない所に発展はない。人が考えていないことをしてもかつて自分がそうしたように他社はいいものはどんどん模倣し取り入れていく。競争のなかに本当の幸せはあるのか?自分より少しすぐれた人や会社には嫉み、自分より劣る人や会社には優越感を感じ心のどこかで蔑む。いいのかこんなことでと思いながら歩いている中ひとつの確信めいた考えが頭をよぎった。自分という商品は遺伝子からみてもこの世に一つしかない。自分のDNAや履歴を商品として磨いていく。顧客や社員さんのソリューションこそが自分の生涯かけて取り組むべきテーマだと改めて感じた。もとはと言えば人間も太陽も虫も植物も同根なのだから較べる対象は競合や人でなく自然なのだ。私の理想の戦略は敵を意識しないことが出来る世界で自分と戦う。だから戦略でなくでなく指針なのだ。