消費者視点の情報発信

毎日同じような仕事をしていると本来あるべき仕事の目的からだんだん離れて行きがちだ。だから定期的にあるべき姿を考える時が必要になる。
事業計画策定や個人目標設定は絶好のタイミングであるが収益を前提としている為、どうしてもいかに利益を上げるかで考えてしまいがちである。

今は通用していても近い将来通用しなくなる事はいったいどんな仕事を指すのか?分かってはいるけれど忙しいを理由に出来てない事は理由にならない。時代は着実に変化し我々を待ってはくれない。

マス媒体の終焉が叫ばれて久しいが現実に朝日新聞の広告収入はヤフーのそれに抜かれ、サンデー毎日は最盛期の100万部から7万部にまで部数を落としている。

では我々が得意とするテーブルメディアはどうか?チラシは最盛期の3億枚から半分になった。DMは減ってはないが増えていない。


それははっきりした理由が存在する。費用に較べ効果が無くなってきているからだ。電子媒体の多様化により多くの人は既存メディアへの接触が激減したことも大きな要因ではあるが、最も大きな要因は顧客視点の情報発信が出来てない事である。


では顧客視点の情報発信をどのような考え方、手順ですればよいのか?SANSENDO info のマーケティングで紹介した松野氏は以下のように説明している。


①顧客像を明確にする。
使用する媒体のメインターゲットは一体誰なのか?ターゲットは訴求商品の何に関心があるのか?新聞は今やシニア媒体となり40才以上がほとんどで60才以上がメインである。チラシは新聞折り込みが基本である為、ターゲットはおのずと決まる。あとはメイン商品に合わせターゲットを特定すればよい。一番やってはいけないのがあわよくば様々な顧客層が取り込めるかもしれないと考えターゲットを曖昧にすることだ。DMを例にすれば以下のような分析がある。

〜企業がDMなどで販促活動を行う場合、もっともコストがかからないのは全ての顧客に全く同じ情報を提供することです。これなら複数のコンテンツを用意する必要も情報を加工する手間も省けます。しかし、もし全顧客に同じ内容の情報提供をするとどうなるのでしょうか。

例えば、ある新型車の紹介DMを全ての顧客に送ったとします。すると、一部の顧客はこのDMに反応するかもしれませんが、残りの顧客は全くの無反応となります。なぜなら、その新型車に興味があるのは特定の顧客だけだからです。仮に、この新型車は既存製品と比較して運動性能が高く、デザインもスタイリッシュで素晴らしい出来映えのスポーツカーだったとしても、車を日常の足程度にしか認識していない中年男性や、運転のしやすさや燃費などを最重視している主婦が、この新型車に興味を示さないのは想像に難くありません。結果として高いレスポンス率は期待できず、費用対効果の面から見ても悪いと言わざるをえません。しかしこの例では、怖いことにレスポンス率が悪いだけでは終わらないのです。

このDMはスポーツカーに興味のある顧客だけにとっては「望んでいたありがたい情報」なのですが、そうではない多くの顧客にとっては「迷惑な売り込み」にすぎないのです。仮に主婦であれば普通はスポーツカーにとくに興味・関心はなく、それよりもふだんよりもちょっとお得な点検サービスや、オイル交換に行くともれなくティッシュペーパーをもらえるなど、実生活に役立つ情報に魅力的を感じます。よって、主婦がこのDMを受け取ったとすると、DMを見た瞬間にゴミ箱行きが決定します。主婦は「ゴミ箱行き」という判断をはじめは無意識のうちに行っていますが、同じこと(魅力を感じない情報提供=ただの売り込み)を何度もされ続けると、次第に無意識から能動的な意識=この企業への嫌悪感が芽生えてきます。

あなたも経験があるのでおわかりだと思いますが、人は他人から売り込みをされると非常に嫌悪感を覚えます。「なぜあなたからモノを買わないといけないの?!」となるわけです。顧客にとって興味・関心のない情報はスパムメールと同じ扱いを受けます。せっかくコストをかけてDM販促をしたとしても、顧客属性に応じて適切な情報を提供しないと、反応を得られないどころか逆に顧客から嫌われてしまうのです。〜

ターゲットが違えば感じ方も変わる。

②何を伝えたいのかを絞る。
あれもこれも伝えたいのはわかるがチラシの場合手に取るに値するかどうかは一瞬で決まる。ターゲットの関心に対し他メーカーにない強みをどれだけ訴求できるのか?2秒で関心を持って頂けるような「インパクトのあるメッセージ」なのか?それはどのくらい信憑性があるのか?

顧客がディーラーに質問したいことにヒントがあるという。知りたいけど肝心なことが記載されてない。それは税金・諸費用込みの価格であったり買ってからのサービスであったりする。顧客が持つ不安要因をいかに掲載出来るのかが問われている。

③顧客にどう行動して欲しいのかを明確にする。
買って欲しいのが最終目的では顧客は逃げる。商品が顧客にもたらすライフスタイル変化とはいったい何なのか?エコ・節電がテーマならまず入り口は暮らしの役に立つエコフェアーでもよい。

つまり気軽に来店して欲しいのか、電話で問合せして欲しいのか、WEBを見て欲しいのか、あらゆる接触手段を用意して店に行きたくない人が行動を起こしやすくしなければならない。

女性の気持ちにスッと入るには女性の不安、不満、不便を解消することが肝要だ。最近わたしがモテないのは自分の不を解消することしか考えてないからかもしれない。