マツダの「モノ造り改革」
スカイアクティブ技術を生み出したマツダの「モノ造り改革」とは、どんな手法で展開されたのか。
営業領域総括の毛籠(もろ)勝弘常務執行役員は、次のように説明する。
「15年における会社像、エンジンや変速機といった技術、そして商品である車の理想型をそれぞれに想定。これら15年のあるべき姿から逆算して、例えば10年ならばその年に何をするべきかを描き、全社に落とし込んでいったのです。技術、マーケティングといった垣根を越えて全社が横につながる形にするのがポイントでした。各現場は、これに基づいてPDCAを回していく」
「マツダには競合車がありません。自分たちの価値を世界に提供するのです」と猿渡は話す。
トヨタに次いで日本で多くの車をつくっているのはマツダであり、雇用をはじめ国内産業への貢献度は大きい。だが、再び円高基調となれば、大きな影響を受ける構造である。
同月におけるマツダの世界生産に占める国内生産台数の比率は、78.4%。富士重の78.9%と双璧だ。国内生産割合が60%を超えるのは2社だけで、最低は日産の17.4%。さらに、マツダの輸出は7万1644台(同16.1%増)と、国内生産のうち実に76.5%を占める。富士重工の67.8%を抑えて輸出比率は断トツの1位である。
中国地方が拠点のマツダは、地域のサプライヤー(納入業者)との相互依存関係が強く、日本でのモノづくりを基盤としてきたのが特徴だろう。