なぜ円高が進んでいるのか?

これは、ドルのマネタリーベース(通貨供給)のグラフです。
米国は今、誰が見ても一目でわかる、
これだけの量のドルを市場に供給しています。

前述で「金融状況を一段と緩和」と書きましたが、
これは単なる「緩和」と言えるレベルでしょうか???


ちなみにチャート内で縦にグレーのラインが入っていますが、
右のラインは現在の金融危機、左のラインは9.11同時多発テロ
時期を表しています。

9.11の時など比べようもないほどの通貨供給量です。
もちろん歴史的に見ても異常値と言わざるを得ません。
(そりゃ、100年に一度の危機ですからね・・・)


この事実には私も正直驚きました。

これだけのドルを市場に供給していますので、
ドルの国際市場での相対的価値は減少するのは
目に見えています。

加えて、11月のFOMC終了後に発表した声明は、
政策金利を「長期間(for an extended period)異例に低水準とすることが
正当化される可能性が高いと引き続き予想する」との表明となりました。

さらにFOMCは、
これまでのところドルの下落は「秩序のある(orderly)」ものだとし、
「ドル安容認」とも言える発言をしています。

ドルが安ければ、米国の輸出産業が潤い、
景気回復への道筋がつけやすいというものです。
もちろん、この政策が悪いというわけではないと思います。

ただ、自国だけが良ければいい、といった感じがしないでもなく、
米国のおかげで世界は大変な状況におかれているのですから、
米国には各国で協調することを意識してほしいところです。


しかし、それより問題なのは、これだけ通貨を流通させて
出口戦略をどうするか?が決まっていない。
ということです。

金利を上げ金融引き締めを行えば、
企業の設備や不動産への投資意欲が減退しますし、
かといってこのまま放置すれば、バブルの様相を呈してくる恐れもあります。

つまり、出口戦略が決まっていない現状では、
市場では安心してドルを売り込めるわけで、
さらにいうと、日本側では、為替介入はちらつかせるものの、
現実的に動こうともしないため、円も安心して買える状況にあります。

これが円高ドル安が進行する大きな理由です。


つまるところ、米国が出口戦略を見せない限り、
ドル安は続くと思われます。


これらの動きを見ていると、世界経済は米国主導であることを実感します。
特に日本は、親分の身を守るために、自分も手痛い傷を負っているにも
かかわらず、さらに円高で苦しめられ、なす術がない状況に追い込まれています。


ただ、悪い面があれば良い面もあるわけで、
今、円は世界最強通貨です!

海外投資や輸入には最適の時期を迎えているとも言えます。
慌てなくても良いですが、チャンスは逃さないように
世界経済の大きな流れに着目し、準備だけはしておきましょう!




FRB(連邦準備(制度)理事会とは?

FRBとは、Board of Governors of the Federal Reserve System
(またはThe Federal Reserve Board)の略称で、
1913年の連邦準備法(Federal Reserve Act)を根拠法として
設立された米国の中央銀行制度の最高意思決定機関。
つまり日本で言うところの中央銀行を指します。
日本では「連邦準備(制度)理事会」と呼ばれることもあります。
FRBは7名の理事(うち議長 1名、副議長 1名)から構成され、
連邦準備理事会の下に位置するのが12の地区連邦準備銀行で、
実際の中央銀行業務を行っています。



FOMC連邦公開市場委員会)とは?

連邦公開市場委員会FOMC、Federal Open Market Committee)。
FOMCは、金融政策の手段である公開市場操作を決定しています。
FOMCは、前述の 7名の理事の他、5名の地区連銀総裁
(ニューヨーク連銀総裁の他は11地区連銀からの輪番制)で構成され、
マネーサプライ(通貨供給量)の調整や金利、為替レート、FF金利
(フェデラル・ファンド金利)など様々なテーマについて議論がされています。
話し合いの2日後に、FOMC議事録が公表され、
海外投資には必須の重要な資料となっています。