当たり前のことですが、ビジネスとは「社会」の上に作るものです。たとえば、「これを売りたい!」と思っても、その商品が良いだけでは売れることはなく、それが社会で必要とされているかどうかが問われるわけですね。ということは、ビジネスモデルは、「社会の上に乗っかって」つくらないとなりません。そこで、経営者に「時代を見る眼」が必要になるのです。ご存じのように、今の日本は社会構造自体が"右肩下がり"なので、それに合わせてビジネスを作らないとならないわけです。

つまり、「いつになったら景気が良くなるんだろう」と嘆いていても仕方ないわけで、『縮小マーケット』に合わせたビジネスモデルを考えることが重要だということです。社歴の長い会社は、右肩上がりの社会に合わせたビジネスモデルで、今日まで走ってきている可能性がありますから、まず「ビジネスの大前提が変わっている」ということを認めてください。

『縮小マーケット』では、「このビジネスがずっと続けられるのか」を考えることが重要になります。「マーケットを食い尽くさない」というメージですね。あまり勢いを持って売りすぎると、マーケットが枯渇します(――;) とりわけ、今は時代のスピードも速いので、これまでは30年かかったことが、ネットを使えばたった5年でできたりもします。だからこそ、経営者は「ビジネスの視点」を変えないとダメなんです。目先のビジネスをやっている場合ではありません!経営者は常に、「今のビジネスを永遠に(せめて自分が死ぬまでは)続けられるか?」を考えておくことが重要なのです。
事例は、Eコマース事業を手がけるミネルヴァ・ホールディングスです。同社が運営する「ナチュラム」というECサイトをご存じでしょうか? アウトドア製品なら「売っていないものはない」ほど、みごとな品揃えで他社の追随を許さないサイトです。その掲載点数は、なんと!約37万点(@_@;) 1日で700点くらいが廃盤になり、一方で新商品が同じくらい出る・・・といった規模のビジネスをしています。

同社は、このナチュラムで培ったECサイト運営のノウハウを広く提供すべく「ジェネシスECセンター」を立ち上げたのですが、その経営陣と一緒に、私も6月に中国まで行って来ました。中国で何をしようとしているか・・・ズバリ!「ECサイトのメンテナンス」です。考えてもみてください。毎日数百点の商品ページのメンテナンス作業を国内でやったらどうなると思います? いつまで経っても赤字です(-_-;) それをゴッソリ中国へ持って行ってしまったというわけです。中国でやれば、掲載費用は1ページ10円を切るそうですよ。しかも、紙のカタログを送れば、それをスキャンしてページにしてくれるサービスもあるそうです。つまり、ジェネシスと組めば、競合他社が3千アイテムで運営しているところへ、いきなり「2万」アイテムのECサイトを立ち上げることができるのです。こうなるともう、ライバルは"瞬殺"だそうです(@_@。

ネットで勝つ方法はたった4つ

ちなみに、ネットビジネスで勝つ方法はたった4つしかありません。

1)うちにしかないオリジナル商品を売る。
2)エリアとリンクしたビジネスをする。
3)インフラとして機能する。
4)そのカテゴリーの全商品を網羅する。

1)は説明するまでもありませんが、その商品がそこでしか売っていなければ、価格に関係なく買うしかありません。今、多くのECサイトが苦戦しているのは、単純に言えば価格競争に巻き込まれているからで、その解決策は「オリジナル商品を売る」しかないのです。

次に2)については、不動産ビジネスなどを思い浮かべてください。ネットとエリアがくっついている場合は、ライバルが限定されているので、要は「その中でNo.1」になればいいわけですから、比較的勝算があります。

3)については、たとえば「OK Wave(オーケーウェブ)」などがそうですね。ここは、どこのサイトでも使える「Q&Aの制作システム」そのもの提供している会社です。ASP化して、ずっと課金されるようなビジネスなら、ライバル会社さえお客さんになる、というわけです。

そして、最後が4)の「全部行く」というビジネスです。ご存じamazonのビジネスモデルもコレですが、こうなって初めて「ロングテール」で稼げるようになるわけです。実際のところ、今の日本でここに行こうと思ったら、「もうジェネシスと組むしかない!」みたいなサービスを同社が提供しているのだと考えると、ビジネスモデルのレベルがよくわかるんじゃないでしょうか(*^^)v

北海道の優良企業、ヤマチユナイテッドグループです。代表の山地社長にも、4月の勉強会のゲストとしてたっぷりご講演いただきましたが、社長自ら「THE 100 VISION」を掲げ、100の事業を立ち上げて、100の会社と社長を創り出すことを目標にしているとびっきり元気な経営者です。

山地社長がどうして「会社をたくさんつくろう」と考え始めたかというと、「会社は会社がつくっている」ことに気づいたからなんです。日本には約250万の会社がありますが、そのうち、上場企業約4千社。売上げ10億を超えていく会社は、みな上場企業がつくっています。一方、日本企業の8割は売上げ3億円以下の会社です。ちなみに、世の中で社長と課長はどっちが多いかご存じですか? これは間違いなく「社長」の方で、経営者としてはこうした数字をざっくりと押さえておく必要があります。闘うフィールド(=社会)を知っておくことが大事だということです。

日本企業にも、たまにはユニクロのように突き抜けていく会社がありますが、一般的には、うまくいった会社が、横展開で会社をつくっていったほうが成功する確率が高いでしょう。企業グループは、ある規模を超えると、作れば作るほど収益構造が増していくようになります。現にヤマチユナイテッドグループは53社になっていますが、新しい会社を作ったとたん、グループ会社が全部お客さんになるわけですから、決して壊れない強固なビジネスモデルになっていっています。私はこのモデルをを「連邦型丸投げ経営」と名付けたのですが、中小企業の経営のカタチとして十分"アリ"だと思っています!(^^)!

最後の事例は、日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社スタートトゥデイです。今、若者に人気のブランドの服は、ほとんどここで手に入るわけですが、この会社はバックヤードのシステムが完璧なんです。ネットショップに加えて、リアル店舗の在庫管理もできちゃうようなシステムを持っているので、同社と取引すれば、その会社は独自の在庫管理システムを持たなくてもいい状態にまでなっているみたいです。ちなみに、会員数は約200万人。ファッションに敏感な人のアドレスを200万アドレスも保有しているわけですから、もう一人勝ちに近いと言ってもいいかもしれません。

ちなみに、同社は「いずれこうなる」ことを、創業時から予測していたそうですよ。同社の前澤社長は30代ですが、私が最近会う若い経営者たちは、これまでの経営者たちとまったく感覚が違うのです。ひとことで言えば、「これまでよりも、広く大きく考えてビジネスしている人が増えた」って感じでしょうか。また、ITにしろ物流にしろ、ビジネスに使えるものが増えたので、ビジネス自体のスピードも格段に上がっています。このままでは、歴史ある老舗が若い会社にカンタンに負けてしまうようなことが、続々と起こるかもしれませんよ(――;)

新しい会社は、お金をかけずにまっさらでいいものをつくれるのです。今の中国もちょっとそんな感じかもしれませんが、まったくしがらみのない状態で、最先端の技術が使えるというのは、とてつもなく有利なことです。近年、若くて枠のない経営者たちが、そのビシネスの「最終形」を押さえに行っているような感じです。そんな時代ですから、経営者が業界内の情報しか取らないようなスタンスでは、先が心配です。今日ご紹介した事例もそうですが、ぜひ、関係ない業種の情報も積極的に取っていくような姿勢を持ってください。そして、この3%倶楽部は、みんなで成功していきたいと思っています(@^^)/~~~