業界天気図

広告主間の価格競争の激化や異業種間の連携・強化が進むと見込まれる。マスコミ4媒体広告は底を打つとみられる。ネット市場は拡大するが、モバイル市場を中心とした新規ニーズの取り込みと新技術開発が今後の生き残りに直結。

電気自動車や新興国向け低価格車など、ニーズの多様化が進む。そのための他社との提携も加速する見込み。


東日本大震災による倒産、増加基調強める
東日本大震災の影響による倒産が、増加基調を強めている。依然として「被災地以外の間接被害型」が中心であるが、5月に入り、岩手、宮城、福島などの被災地における倒産も、徐々に判明しはじめてきた。しかし、現状判明している震災による倒産件数は、数千社単位で存在する上記3県の太平洋沿岸部に本社を構える企業数と比べても“氷山の一角”との印象を拭えない。全国銀行協会のデータによれば、岩手、宮城、福島3県の3、4月の不渡手形実数は合計1637枚にのぼり、前年の約4.7倍に膨らんだ。にもかかわらず、このうち取引停止処分となった件数はわずか10件にとどまり、前年(11件)の件数を逆に下回っている。こうした数字をみると、実質的に資金繰り破たんしている企業は多いものの、様々な金融支援策や特例措置によって一時的に表面化していない倒産が相当数あるとの見方もできる。今後、被災地での倒産状況が次第に明らかになるにつれて、倒産件数は確実に増えてくるにちがいない。


日本自動車工業会が5月31日に発表した4月の国内自動車生産は前年同月比60.1%減となり、過去最大の落ち込みとなった。しかし5月以降はサプライチェーン(供給体制)が回復に向かいはじめており、「下期に完成車メーカーの要求通りに生産できるかがむしろ心配」(自動車部品メーカー)といった今後の増産対応を心配する声まで聞かれる。日本の基幹産業である自動車業界に生産回復という明るい兆しはみられるものの、多くの中小・零細企業は夏の電力不足や原発事故の深刻化といった大きなリスクを抱えるうえ、昨年来の政策効果が一巡し、経営体力的にも限界に近づきつつある。一般保証とは別枠で、最大5億6000万円まで利用可能な「東日本大震災復興緊急保証」が5月23日から開始されたが、中小企業の再生支援にどこまで効果を発揮するかは未知数だ。また、今後の復旧・復興の担い手となるべき岩手、福島の建設業者の倒産が増加傾向を示していることは、政局の混乱がもたらした負の側面ともいえる。今後もこうした事態が続けば、新規貸付の前提となる二重ローン問題対策など被災企業救済のための政策に支障をきたすおそれもある。このため当面は、震災の影響を受けた企業倒産が全体の件数を押し上げる形で、このまま増加局面をたどる可能性が高まっている。