ネットは市場全体を縮小させてしまう

モノが売れるためには販促活動が必須である。テレビ広告も、消費者の買う気を引き起こす効果と言う意味では広義の販促であるし、店頭のポスターやディスプレイも販促である。ネット勢に押されてリアルの店舗が閉店を余儀なくされる多くの業界で、こういった店頭での販促の減少によって市場縮小が起きているのだ。現にDVDレンタル店の数は、20年間で半減している(日本レコード協会による。1989年の6213店から2007年は3116店に)。

 レンタル店はこの間、事業採算性が悪化し、東京で言えば昔は小さな駅の前にも存在したが、今では大型駅の近くや主要幹線ロードサイドだけになってしまった。例えば、以前は、会社帰りの暇な時間に自宅そばの駅に降り立ってレンタルできたが、今ではわざわざ大型駅の近くまで行かなければレンタル出来ない。顧客とのタッチポイントが減れば需要自体も減ってしまうのは必至である。

私たち人類の歴史は、新しいテクノロジーの登場に対して、負の側面の解決策を作りながら、正の側面を伸ばしつつ、文明の進化と生活の向上を果たしてきた。今、ネットの市場縮小効果という負の側面を放置しておいては、ネットという正の側面を多大に持っている技術を最大限に活かすことは出来ないだろう。ネットの市場縮小効果を打破する根本策の策定が必須の「ネット時代」なのだ。