関心の獲得


リピーターの確保がそれなりに飽和すれば(かけるコストの割りに結果が出なくなれば)、次にフォーカスすべきなのは新規顧客の獲得です。新規顧客を獲得するためには、まずは、まだ商品のことを知らない潜在顧客に、自分の商品への関心をもってもらわないとなりません。

言うなればこれは、潜在顧客の関心の「脳内シェア争い」です。ここで競合となるのは、もはや同じ業界の企業ばかりではありません。いかなるモノやサービスであれ、顧客の関心を自社と取り合うものは全て競合です。

もちろん、全ての潜在顧客に営業マンが何度もアタックをかけたり、テレビなどの大手メディアで大々的な広告を打ったりすることができれば、それが一番効果的でしょう。しかしこうした活動は、一部の大企業を除けば予算的に難しいのが普通です。

そこで低予算でも有効になるのが「ターゲットの絞込み」です。大手メディアに広告は出せなくとも、マイナーな特定業界の専門誌であれば広告費用も少なくて済むでしょう。さらに地域や季節、特定のイベントや時間、特定のブログサービスやSNSに絞った広告や営業を考えれば、その予算はもっと少なくて済みます。

誰でも年齢や性別、年収や学歴によるターゲットの絞込みには気がつくと思いますが、そうした「誰もが気がつくターゲット」というのは、多くの競合が同時に狙っているので、かけたお金の割りに結果が伴わなかったりするので注意して下さい。

また、この段階での目標は、商品を知らない顧客に商品を認知してもらうことなので、広告や営業は、基本的に顧客の無意識へのアタックになるという点にも注意が必要です。いきなり商品の詳しい説明を広告に載せたりするのではなく、伝えたいメッセージを出来る限り短くして、印象に残るような工夫を考えなくてはなりません。

ターゲットを絞れとはいえ、実際のビジネスでは、販売前には思っても見なかった顧客がファンになってくれたり、逆にターゲットだと思っていた人々には全く売れなかったりするのもよくあることです。
 
予想もしなかった人に、予想もしなかった理由で商品を感謝されたりした経験は誰にでもあるでしょう。とにかく、こちらが本当の意味で顧客を選べるなんていう考えは、マーケティングのおごりです。詳しくは、過去のエントリ「「商品が売れた理由」を知っていますか?」を参照してください。

実務では、とにかく誰であれ、自社製品を買ってくれた顧客のケアから全てがはじまるのであって、あくまでもこちらが顧客から選ばれる立場にあるという点は強調しておきたいです。